5月から1回あたりの授業時間が2時間となっています。
他の塾と比べればもちろんまだ長いのでしょうが、普段は国語/算数→3時間、社会/理科→2時間30分のジャングルジムではこれを短いと感じてしまいます。
私が担当する国語では演習時間を授業外で行うことによって、普段と変わりのない内容で授業運営ができていますが、この授業外の演習というものについては、気をつけないといけないなと感じています。
今は、生徒たちが作成した答案をコピーして未採点状態のものを生徒に渡し、コピーしたものを私が採点するという形式で解説授業をしています。
これによって、さまざまな良いことがありました。
まず、解説中の生徒の頭がフル回転を維持できるようになりました。
今までは、採点がされた状態で、◯や×や△がついた自分の答案を見ながら、全問の解説を聞くという形でした。そうすると、どうしても自分が当たっていた問題の解説にはあまり一生懸命にはなりにくいかと思います。
しかし、未採点のまま解説が始まるとなると「何が当たっていて、何が間違っているのかわからない!」という状態になります。
きっと生徒たちは「早川、この問題頼む…アと言ってくれ…」と祈りながら解説を聞いてくれているでしょう。
それはなんとなく雰囲気でわかります。
そして、「この問題はこのような理由でアとウとエは論外です。イを選んじゃった人は惜しい!ここまではその通りだけど、ここの部分の根拠はこうこうで」といった話を聞くことで、
本来ありえない記号問題の到達度についても確認することができます。
ここで、「あっ、アじゃないんだ。へー、イなのね。」というような解説の受け方は減ったかと思います。
なぜなら、私が言うまで自分の答えが正答である可能性を生徒に残してあげられるからです。
解説を進めていくうちに、生徒が「あっ!!うわー!!これじゃん!!」的な顔をすることが多くなりました。
普遍性の低い読解問題で、この顔をすることが国語を学んだというひとつの表れかと思います。
次に、わかったつもりになっていたことにより失われた学びのポイントが少なくなったという印象を受けました。
選択問題ではしばしば、よく理解できていないけど当たっちゃったということがあります。
それっぽく言えば、センスであったりフィーリングで当てたということもできますが、受験国語においてそのようなものに頼るのは試験ごとの点数のブレを克服できないままにしてしまう危険なものと私は考えます。
私の授業では多くの場合、通読と線引きを初読の段階で一緒に行い解説にうつるのですが、たまに「自分の答案用紙直してごらん。」なんて言います。
そうすると、生徒は一気に緊張感MAX状態で仕事に取りかかるのですが、それもそのはずです。
通常は〝間違えなおし〟として、間違っているものを新しい正答に直すのですが、なにしろ未採点ですので、当たっているか間違っているかがわからず、下手をすると【自分が解いたときには正しい答えが選べていても直しで間違えてしまう】という事態が発生しかねないということです。生徒にとってそれほど屈辱的なことはありませんので、たとえ合っていた問題についても検討を重ねることができます。
そして、間違えた問題を再度見たがやっぱり答えが変わらないということは、こだわりを持って選んだ答えと言えますし、これで正答とならなかった時には、その理由を生徒の腑に落ちるまで説明することができます。
もちろん、生徒が出した答えをこちらも確認することができますし、生徒が持つ解答のクセというものもある程度ですが掴むことができます。
例えば、難解な具体例を示された場合その前後にある抽象事項はわかっていても、露骨に読解の軸にブレが出て、意味など関係なく本文に出ていた言葉と同じ言葉がただ書いてあるだけの選択肢を選んでいたり、一般論的にはとても正しそうなことが書いてある選択肢が書いてあっても筆者は誰もが当たり前にするであろうその考えを後に明確に打ち消しているのを見落としたりといったようなことが担当もわかっていれば、指導のリアリティが増すかと思います。
ここまで書くと、今までの取り組みがさも素晴らしいことのような印象を受けるかと思いますが、冒頭に述べた気をつけなければいけない内容は以下になります。
それは、【私の目の前で演習していない】ということです。
普段は生徒たちが演習しているところを目の前で見ることができていますので、
(大問1に時間かけすぎだな〜)
(こんな抜き出し、見つからないならとりあえず他の問題先やりなよう)
(ああ、せっかく書いた記述消しちゃ…)
(答え選ぶの早すぎない!?他の選択肢も検討した方がいいんじゃない…?)
(あー、ここ線引くんだ…確かに!!)
といった今まで把握できていた事柄がわからずに解答用紙がドンっとくる感じです。
また、少人数制でやらせていただいている特徴として、さかんに生徒同士に競争意識を持たせて取り組ませているところもありますので、生徒たちはひとつひとつの演習に対する競争意識が元々高く、それが今回いわゆるブラックボックスのような中での演習となりますので、その辺も難しいなぁと感じています。
時間切れにて、時間さえあれば正解が出せそうな悔しそうな生徒に対して心を鬼にして解答用紙を提出させたこともありますし、これは過去の受験生ですが大ゲンカの上、怒鳴り合うような形で答案を奪い取ったようなこともあります。
その際に、何が最後の土壇場の時間を奪ったのかも含めての経験、学びだとも思いますのでそこら辺が100%私の目の前で行われていない所に未熟ながら不安な気持ちを抱いているところです。
ただ、この期間の学びはそのようなモヤモヤしたことも含めて、国語の面でもとても成長できる好機と受け止めて、ともに頑張っていけたら!と思っています。